先々週の火曜日の分になります。
2017年10月31日から始まったレール輸送新型気動車キヤE195系の甲種輸送。現在までに長尺レール輸送用3編成と定尺レール輸送用23編成が登場し、関東地区と東北地区のレール輸送に従事しています。そしてこの度、4編成目となる長尺レール用キヤが日本車両から発送され、所属先へと甲種輸送されました。
9月20日にキヤE194-8~キヤE195-10の8両が豊川から西浜松へ、翌21日にキヤE195-4・キサヤE194-4・キヤE194-7の3両が西浜松へ。牽引機がDE10からEF65に代わり、新鶴見信号所へ向けて東海道を東へ。新鶴見信号所からはまたまた牽引機が変わりまして…、
9171 EH500-23+キヤE195系LT-4編成+ヨ8642+ヨ8891+ヨ8925 大宮
EH500-23に牽かれた「ロンキヤ」が大宮駅にやって来ました。小牛田行きのキヤE195系甲種輸送は約4ヶ月ぶり、ロンキヤに限れば実に4年ぶりの運転となります。
編キヤE195-101には測定用のコンテナが2つ積載されており、その後ろには恒例のヨ8000×3両が連結されています。このあと列車は一路東北本線を下り、翌日に所属先の小牛田に到着しています。
さて、これで小牛田運輸区に1編成と尾久車両センターに3編成という体制になった「ロンキヤ」。甲種輸送の運転回数は小牛田行き・尾久行きともに2回なので、輸送先と所属先がちぐはぐな状態になっています。せっかくの機会なので、ここでロンキヤ登場から現在までの、長尺レール輸送をめぐる動きをを軽く整理しておこうと思います。
キヤE195系の登場前、東北地区の長尺レール輸送はこの鳶色のロンチキが主役でした。「岩切ロンチキ」の愛称で親しまれていたこのチキ車は2020年9月まで使用され、東北地区のレール輸送を支えてきました。
そんな東北地区のレール輸送に転機が訪れたのが2017年10月30日。レール輸送用新型気動車キヤE195系の量産先行車が日本車両豊川製作所を出場し、11月2日に小牛田運輸区へとやって来ました。
JR東日本レール輸送新時代の幕開けと共に、「岩切ロンチキ」の終焉を予感させる出来事でしたが、東北地区の長尺レール輸送の置き換えは一筋縄では終わらないのでした。
さて、小牛田運輸区に配置されて「LT-1」と名付けられたこの編成は、同年の11月14日に公式試運転を実施。その後も東北地区での試験を重ね、翌年の5月からはJR東日本管内各地での試運転を開始しました。
2018年5月22日から開始された各地での試験は3両編成に短縮された姿で行われ、東北エリア、新潟エリア、そして甲種輸送以来の入線となる首都圏エリアにも自力で姿を現しました。
が、同年6月13日の試運転中に総武本線日向駅でトラブルに見舞われ、翌々日の6月15日にDE10 1604 → EF81 95 → ED75 759と牽引機を変えながら小牛田へ強制送還。6月29日にはED75 759に牽引されて郡山総合車両センターへ入場しています。
その後は8月1日にキヤE194-102を除いた先頭2両が郡山総合車両センターを出場し、今度はキサヤE194-101を組み込んで再び首都圏へ。8月下旬から9月下旬にかけて行われた試運転は無事に終了し、自力で所属先の小牛田へと戻っています。
不具合に見舞われたキヤE194-102は同年10月16日に郡山総合車両センターを出場しており、LT-1編成は11両編成となって再び東北地区での試験を実施。翌年は目立った動きがありませんでしたが、さらに翌年の2020年の1月から3月にかけて郡山総合車両センターへ入場し、量産化改造を実施。そして2020年5月13日、LT-1編成は11両編成で東北本線を上っていき、尾久車両センターへとやって来ました。
交番検査で何度か小牛田に帰ることはあったものの、2020年の大半を首都圏で過ごしたLT-1編成。6月から8月にかけては尾久車両センターをベースに大宮・八王子・長野エリアでの試運転に従事し…、
8月17日には首都圏レール輸送の総本山、東京レールセンターに入線しています。9月は新潟エリアでの試運転を行い、首都圏エリア各地での試運転は一段落。10月からは尾久と東京レールセンターを行ったり来たりする日々が続きます。
荷台には150Mレールが積載され、運用入りに向けた訓練が行われていたものと思われます。
その頃、東北地区では長尺レール輸送に大きな動きがありました。
2020年9月27日発の郡山工臨をもって「岩切ロンチキ」の運用が終了。10月12日と23日の2回に分けて郡山へ配給され、廃車となっています。
そして10月29日、首都圏エリアでの長尺レール輸送に従事してきたロンチキC編成が越中島貨物駅を旅立ち…、
EF81 81に牽引されて岩切へ。
貨車の側面には「仙セン」「岩切駅常備」の文字。廃車となった先代の「岩切ロンチキ」に代わり、もとロンチキC編成が「新・岩切ロンチキ」として東北地区の長尺レール輸送に従事することになったのでした。
このロンチキC編成の転属があくまでもロンキヤ導入までの繋ぎだということは明白でしたが、ロンキヤの導入スケジュールが遅れていてこうなったのか、もともとこういうスケジュールだったのかは定かではありません。しかしながら、最終的にはLT-1編成が首都圏の試験を終えて小牛田に帰り、新・岩切ロンチキに引導を渡すものだと思っていました。
なにせ、2021年に入ってもLT-1編成は小牛田所属のままだったのですから。
さて、尾久車両センターで年を越したLT-1編成、2021年1月は常磐線での試運転を行いました。この時点でもまだ小牛田所属のままだったわけですが…、
…、いつの間にか所属の表記が「仙ココ」から「東オク」に変わっていたのです。2021年2月1日付で尾久車両センター所属となったLT-1編成。これこそが小牛田・尾久向けの甲種輸送の運転回数と配置数が合致しない原因なのでした。
まさかの尾久車両センター転属となったLT-1編成。こちらも導入スケジュールの遅れが原因なのか、もともとこういうスケジュールだったのか定かではありませんが、これで東北地区の長尺レール輸送の「キヤ化」は当分先の話になってしまったのでした。
その後、2月7日から9日にかけてロンキヤ量産車第1号となるLT-2編成が尾久車両センターへ、
2月20日から22日にかけてはLT-3編成が同じく尾久車両センターへと輸送されています。2月1日に転属したLT-1編成と合わせ、尾久車両センターの「ロンキヤ」は3編成体制となりました。
そして迎えた2021年3月、遂に首都圏エリアでのキヤE195系の運用が開始されました。LT-1編成は3月16日に東京レールセンターへと送り込まれ…、
4月9日から10日にかけての取手工臨で運用入り。甲種輸送から3年半、最初に配置された小牛田運輸区から遠く離れた天王台という地で遂に実戦デビューを果たしたのでした。
こうして首都圏エリアは定尺キヤとロンキヤ、東北エリアは定尺キヤとロンチキという体制になったJR東日本のレール輸送。しばらくこの体制のまま推移していましたが、ロンキヤのデビューから約5ヶ月が経った2021年9月…、
ようやく小牛田所属となるLT-4編成が登場。今度こそ本当にロンチキに引導を時が来たようです。
ということで、LT-1編成の登場からLT-4編成の登場までの流れをざっと振り返ってみました。真っ先に置き換えられると思われた東北地区の長尺レール輸送が最後までチキ車のまま残るという不思議な状況になっていましたが、LT-4編成の登場でJR東日本レール輸送の「キヤ化」もひとまず完了ということになりそうです。
to be continued…?