れーるノート

首都圏のレール輸送といずっぱこ

2022/5/24 京都鉄道博物館 Part3

Part2の続きです。

 

最後に京都鉄道博物館の展示車両以外のものについて書いていきます。京都鉄道博物館の展示クオリティの高さは車両だけに留まりません。

 

まずは本館入口左手にある【鉄道の施設】エリア。鉄道を構成する様々な設備についての展示ですが、中でも目を引く(?)のは「線路を構成する設備」の区画。

 

海外から輸入された古レールがずらりと並んでいます。今でこそ国内のレールは100%国産となっていますが、国内の製鉄所が本格的に稼働するまでは海外からの輸入がメインとなっていました。

 

刻印や断面も確認できるようになっています。

 

「線路を構成する設備」ですから、道床やまくら木についても触れられています。木まくら木とPCまくら木と合成まくら木、実際に触って違いを確かめられるところが実にいいですね。

 

こちらは「保線作業」の区画。保線作業に使用される道具や実際の作業の様子などが展示されています。普段あまり見かける機会のないものですが、日々保線作業をしてくださっている方々のおかげで今日も私たちは安全に鉄道を利用できているわけです。

 

 

続いて信号の区画。腕木式器信号機から三位式五現示色燈式信号機まで、多種多様な信号機が並んでいます。圧巻です。

 

こちらは実際に継電連動機を操作してポイントと信号を切り替えることができるコーナー。進路と連動して信号の現示も変わります。実物大の分岐器と信号機を使って体験できるってのがまたすごいところです。

 

その隣にあるのが吹田信号場で使用されていた連動装置。先ほど紹介した体験用の継電連動機はポイントを切り替えるスイッチ(てこ)が指でつまんで回すタイプのものでしたが、こちらはハンドル式です。どれくらい回すのかはわかりませんが、昔の信号場ってなかなかに力仕事だったのでは…?

 

 

続いては踏切の展示…、というよりは踏切に備え付けらえれた非常ボタンについての解説がメインのコーナー。

 

実際にボタンを押して特殊信号発光機を発光させることができます。回転形と点滅形。どちらもしっかり作動します。

 

 

また、Part2で紹介した103系モックアップの脇には簡易的なホームと非常ボタンが設置されており、こちらも実際にボタンを押して非常報知灯を発光させることができます。2001年に発生した新大久保駅での乗客転落事故を受けて設置が始まった「列車非常停止ボタン」。どういう時に押すボタンで、実際に押すとどうなるのかを知ることができる施設というのは絶対に必要だと思います。JR東日本JR西日本は、その役目をこういった博物館が受け持っているわけですね。

 

 

さて、【鉄道の施設】エリアで最後に紹介するのが軌道自転車体験のコーナー。保線作業で使用する軌道自転車に実際に乗ることができるのですが…、

 

走行する線路がありとあらゆる軌道で敷設されています。軌道の種類だけを見てもバラスト軌道・直結軌道・弾性まくら木直結軌道・スラブ軌道があり、バラスト軌道の区間内でもまくら木の種類が異なっています。軌道好きにはたまらんですね。

 

 

続いて本館2階へ。鉄道ジオラマの見学や運転シミュレータの体験もしたかったのですが、いよいよ時間が足りなくなってしまうので今回は見送りまして、気になったものをいくつか紹介していきます。

 

まず【生活と鉄道】エリア。昔の駅の改札近辺が再現されています。運賃も時刻も全て漢数字。今の感覚だと読みにくいったらありゃしないですね…。

 

ちょっと時代が進んで、こちらの改札には自動改札機が設置されています。黎明期のものでしょうか、基本的な発想は変わっていないはずですが、どこか古めかしさを感じます。

 

そして現代の自動改札機。大きな違いはやはりICカード処理部が追加されたところでしょうか。改札機のデザインそのものもだんだんスマートになってきている気がします。

 

こんなものも展示されていました。「パタパタ」こと「反転フラップ式列車発車標」です。今年2月に最後の設置駅であった京急川崎駅のものが撤去され、大きな話題になりました。こちらの展示では1番のりばと2番のりばの列車・時刻・行き先を自由に切り替えることができます。一家に一台ほしいですねこれ。無限に遊べると思います。

 

 

続いては【運行のしくみ】エリア。車載カメラを見ながら模型を動かして保安装置の仕組みを学ぶコーナーなんかもあるのですが、やはり目を引くのはこれ。

 

新幹線総合指令所で使用されていた山陽新幹線総合表示盤です。圧巻ですね。しかもこれ電源が入った状態で展示されているという。

 

まあ正直なところ見方すらよくわからないわけですが、なんとなくワクワクしますよね。

 

 

さて、最後に春季企画展「アイラブ鉄道標識 文字と記号で楽しむ鉄道」を紹介して本館の話は終わりにします。なかなか変態的で面白い企画展でした。

 

こちらは私たちが普段目にする標識の紹介…、と言っても関東の人間にとってはなかなか新鮮です…。

 

そして昔の鉄道標識の展示。駅名標や行先板(いわゆる「サボ」)、行先表示器なんかも展示されていました。

 

その中でも一番変態的だったのがこのコーナー。

 

 

JR各社の鉄道標識が大集合。圧巻です。

 

足元の案内表示まで展示されています。185系や251系のイラストが描かれたものや、

 

昨年引退した二階建て新幹線 E4系の案内表示も展示されてました。西日本以外の展示品もガチなあたりが本当に素敵です。

 

 

他にも館内の見どころは色々あったのですが、そのあたりは次回訪れた際のブログにとっておこうと思います。

 

ということで、最後に…、

 

梅小路蒸気機関車館の様子を少しだけ紹介して、京都鉄道博物館の記事を終わりにします。

 

梅小路蒸気機関車館は鉄道開業100周年を記念した事業の一環で1972年10月10日に開館した施設で、当時の梅小路機関区の扇形車庫を活用して誕生しました。その後、1987年にJR西日本に継承され、2015年8月30日に一旦閉館。翌2016年4月29日に京都鉄道博物館の1エリアとして再度開館し、現在に至ります。全20両が保存されており、そのうちの4両は「SLスチーム号」として体験乗車の牽引機に使用されています。

 

どの機関車もたいへんに貴重なものですが、その中でもちょっと気になった車両を。

 

まずこの7100形7105号機、通称「義経」号。1880年アメリカから輸入された機関車です。北海道の官営幌内鉄道で使用されていた機関車で、お召し列車牽引の実績もあるそうです。御年142歳ですが、なんと現在も走行できるように整備されているとのこと。すごすぎる。

 

続いてC51形239号機。なんだかオーラがあるなあと思って眺めていたのですが、それもそのはず、この239号機はお召し列車専用機に指定されており、全104回の牽引実績を持っているとのこと。なんだかいつまででも見ていられますね…。

 

そして現在も「SLスチーム号」の牽引機として活躍しているC62形2号機。かつて東海道本線の特急「つばめ」「はと」を牽引した機関車です。除煙板につばめのマークが取り付けられており、「スワローエンゼル」の愛称で親しまれています。晩年は小樽築港機関区に転属して北海道の地で活躍し、1972年の梅小路蒸気機関車館開館に合わせて京都の地へ。現在でも京都鉄道博物館の構内のみですが、自力での走行が可能となっています。

 

 

そんなC62 2をはじめとする動態保存機の活躍の場となっている「SLスチーム号」。この日の牽引機はC56形160号機でした。

 

最後の列車の運転終了後に給炭・給水と転車台での方向転換を行うとのことだったので、見学してみました。客車を切り離したC56 160がゆっくりと転車台に進入し…、

 

回ります。思ったより多く回ります。

 

余談ですが、転車台に繋がる線路は30Aレール、本線は50Nレールなので、30Aと50Nの中継レールを見ることができます。

 

で、給炭・給水のための線路へ。

 

翌日の運行に備えて石炭と水の補給を行います。

 

給炭・給水の後は再び転車台に進入し…、

 

推進で扇状車庫へと帰っていきます。

 

入庫まで見届けて京都鉄道博物館を後にしました。開館から閉館直前までがっつり滞在しましたが、それでもまだ見切れていないものが多数あるってところがすごいです…。

 

 

以上、京都鉄道博物館の訪問記でした。