れーるノート

首都圏のレール輸送といずっぱこ

2026/4/25 GVレトロぐんま水上 1日目

 

 

GVぐんま 2026

物語が再び動き始めました

 


 

新型砕石輸送気動車 GV-E197系。これまで砕石輸送および散布作業を行ってきた機関車とホッパ車の置き換えを目的として2021年に登場した車両です。牽引車GV-E197形でホッパ車GV-E196形4両を挟む6両編成で、2024年より本格的な運用がスタート。現在はTS01~TS07の7編成が高崎・水戸・郡山・秋田の4拠点に常駐し、東日本エリア全域の砕石輸送を担っています。

 

牽引車GV-E197形は「本業」である砕石輸送のほか、非電化区間を中心とした車両の回送や入換にも従事。2025年には御乗用列車の予備機にも抜擢されるなど、幅広い活躍を見せています。

 

そんなGV-E197系が担うもう1つの大きな使命…、

 

それが「SLぐんま」の補助機関車としての役割です。上越線・信越線・両毛線において週末を中心に運転されている「SLぐんま」。首都圏から一番近いSL列車として長らく親しまれています。

 

「補助」と言ってもSLを後ろから押したりするわけではなく、配線の都合で機回しができず転車台の設備もない信越線・両毛線でSLを運転する際に編成の最後部に連結する、いわゆる「プッシュプル」のお供です。プッシュプル運転の実現にあたっては、SLとGVの間でブレーキ指令の読み替えが必要となり、この読替装置を搭載した特別なGV-E197系、TS08編成が2024年6月に登場。ホッパ車なしの牽引車2両で落成し、SLや客車を使用しての試運転に従事してきました。

 

そして迎えた2025年5月16日、JR東日本ニュース『夏の臨時列車の運転について』において「GV・SLぐんま横川」「GV・SLぐんま桐生」の運転を発表。SLとのプッシュプルではありますが、事業用車両が乗客を乗せた客車を牽引して営業運転を行うという、全国的に見ても極めて珍しい列車の設定が大きな話題となりました。

 

デビュー日は2025年7月19日の「GV・SLぐんま横川」。運転に先立ち、高崎駅などではポスターの掲示やフラッグの配布などが行われました。キャッチフレーズは「SLを引くのは俺だ。」この言葉が皮肉に使われることになるとは…。

 

迎えた2025年7月19日、高崎駅を発車した「GV・SLぐんま横川」の1番列車は早々に車両点検のため北高崎~群馬八幡駅間に停車。高崎発車時に何らかの理由により最後部のD51 498のブレーキが緩解せず、GVが半ば強引に引きずってしまったという衝撃的な事件が発生してしまいました。

 

1時間弱にわたる車両点検を終え、安中駅までは速度を落として運転をしたものの、ここで運転打切り。機関車を置き換えたという立場上、もともとマニアからの評判があまりよろしくないGV-E197系。原因がはっきりしていないにも関わらず、この一件で袋叩きに遭ったのは言うまでもありません。そんな悲しい記憶の残る運行初日となってしまいました。

 

翌20日はSLをD51からC61に変更して運転。この日は無事に終着の横川駅まで走破することができました。なお、21日に設定されていた両毛線の「GV・SLぐんま桐生」については安全上の確認がとれておらず運休となっています。

 

 

その後、C61は8月3日の「SLぐんま水上」まで代走を務めて検査のため大宮総合車両センターに入場。翌週の「GV・SLぐんま横川」と「GV・SLぐんま桐生」は新潟車両センターよりEF64 1031を借りて運転。さらに翌週からの「SLぐんま水上」についてはGV単独での牽引による運転となり、「GVのみが牽引する列車の運転は当面ない」と言われていた中で早々に実現する形となってしまいました。

 

8月の運転を終えて、残るは9月の3日間となったところでさらなる悲劇が発生。9月4日にD51 498と12系5両による試運転列車が後閑~上牧間で脱線。上越線沼田~水上間が終日運休となり、復旧に丸1日を要する事態に。

 

当該編成は12系とD51が別々に高崎へと返却されましたが、この影響で9月6日に運転予定だった「SLぐんま水上」以降、秋の臨時列車で設定された列車も含め全列車が運休に。2025年の「SLぐんま」は8月で運行を終了するという、異例の1年となりました。

 

9月6日と7日の指定席券を買っていたのですが、乗車目前での運休。役目を失いぐんま車両センターに佇むTS04編成とTS08編成の並びを眺め、静かに涙を流したのでした。

 

10月7日に発表された冬の臨時列車のお知らせにおいても「SL・GVぐんま」運転の発表はなく、群馬の地から客車列車が一時的に姿を消すことになりました。

 


 

止まってしまった時が動き出したのは翌年2026年の3月17日。JR東日本高崎支社より1通のプレスリリースが発出されました。

 

2026年ゴールデンウィーク「GVレトロぐんま水上」運転決定!! 
~ 旧型客車のラウンジカーで上質な時間を~

 

https://www.jreast.co.jp/press/2025/takasaki/20260317_ta01.pdf

 

突然舞い込んだ吉報に涙が止まりませんでした。目前で乗車が叶わなかったGV単独牽引の客車列車、それも営業運転では初となる旧型客車を堂々6両連ねての運転。ここに「GVぐんま」の新たな物語が幕を開けたのでした。

 

 

「GVレトロぐんま水上」の運転日は4月は25・26日の2日間、5月は2・3・5日の3日間、合計5日間設定されました。プレスリリースの発表とともに怒涛の日程調整がスタート。同じく乗車目前で運休の憂き目にあった後輩氏や、大阪からはるばる「ぐんま横川」1番列車に乗りに来るも安中駅で強制下車の憂き目にあった友人、かねてよりGVの活躍に関心を寄せている10年来の知人、秋田県で暇そうにしている普段は忙しそうだけどGWは都合がつきそうな碓氷峠マニア氏などの愉快な仲間たちと連絡を取り合っているうちに、気付いたら全日程の参加が決まっていました。

 

 

今回ポイントとなるのは旧型客車の運転ということで、通常の指定席のほかにさまざまなプランが用意されている点です。

 

まずはプレスリリースの副題にもなっているラウンジカーの利用プラン。これまでフリースペースとして利用可能だったラウンジカーのボックス席を2名1組で利用できるプランです。座席の利用に加えて、4月・5月の往復それぞれ異なる軽食や記念品が提供されるという内容になっています。

 

これに加えてプレスリリース内には記載がなかった2つの商品も発売。1つが「乗って!オハニ!」。オハニ36 11の荷物室内に乗車できるプランで、荷物の気分が味わえる往路は最後尾からの眺め、復路はGVの姿を間近に望むことができます。

 

もう1つが「GVと旧型客車が連結する瞬間を独り占め! 客車貸切&客車内から連結見学」。水上駅停車中にオハニ36 11の荷物室内からGVと連結する瞬間を見学できるプランです。

 

これだけ多くのプランが用意された中で、確認できた限りでは5月5日のラウンジカー復路を除く全プランが完売。GV人気か旧客人気かはわかりませんが(たぶん後者)、久々の運転となる群馬の客車列車に対する期待の高さが垣間見えました。

 

 

こうなると日程調整に加えてどの日にどの乗車形態を利用するかが悩ましいところですが、乗り鉄にも精通している後輩氏の的確な手配のもと、通常のボックス席とラウンジカーを1往復ずつ確保。5月2日にはラウンジカーのボックス貸切も決定し、これと並行して休暇の生成や高崎までの新幹線・ホテル・レンタカー・打ち上げの居酒屋の手配も進めまして、万全の状態で運転初日を迎えることとなりました。

 


 

プレスリリース発表から2ヶ月あまり、遂に「GVぐんま」2026シーズン開幕初日を迎えました。

 

 

開幕にあたり多大な尽力をいただいた後輩氏と合流しまして、北陸新幹線で一路高崎へ。世間は最大12連休となる2026年ゴールデンウィークの初日ということですが、この時間帯の「あさま」はさすがに大宮時点でも自由席にそこそこ空きがある程度の混雑でした。

 

 

軽く朝食を済ませているうちにあっという間に高崎に到着。昨年9月の「GV-E197系車両見学会」以来、半年ぶりの訪問となりました。

 

初日のプランは往復ともに乗車。発車まではかなり時間がありますが、まずはロッカーに荷物を預けまして、高崎アリーナへ。

 

まずは電留線の様子から。今回使用される旧型客車は電留8番線にスタンバイ中。ぐんま車両センターの旧型客車は全7両が在籍しており、今回の編成は6両。使用しない1両は電留1番線に留置されていました。

 

…、が、ここで衝撃の事実が発覚。プレスリリース内での列車編成のイメージ図は茶色1色の6両編成で、水上方の6号車のみ窓割が異なる車両が連結されています。これはどう見てもスハフ32 2357、JR東日本で営業運転が可能な最古の客車です。

 

高崎の旧型客車は2020年の「群馬デスティネーションキャンペーン」に合わせてリニューアル改造が施されましたが、このスハフ32 2357は改造を受けずに比較的原型に近い姿を残していることから人気の高い車両となっています。イメージ図の通りであれば水上方がスハフ32となるはずですが、水上方に連結されているのはどう見ても青15号のスハフ42 2234。当のスハフ32 2357は電留1番線に留置されているあの1両だったというオチでした。イメージ図はあくまでイメージ図ですし、どうやら定員が同じらしく事前に見分ける術もないということで、こればかりは仕方ありません。

 

ってことを入換の待ち時間に後輩氏に説明されて初めて知りました。乗り鉄も色々と大変なんですねェ…。

 

高崎の客車事情を聞きながら待つこと暫し、本日の主役が登場です。

 

※入換  GV-E197系TS08編成 高崎

 

2シーズン目となる「GVぐんま」、今年の主役ももちろんTS08編成です。

 

前述のとおり自動空気ブレーキ車による被けん引に対応可能な可搬式読替装置を搭載しているGV-E197系200番代のTS08編成。今回はGV単独による牽引でこの読替装置の出番はなし。したがって他のTS01~TS07編成での牽引も可能ではありますが、昨年の「SLぐんま水上」代走から引き続きTS08編成がこの大役を担います。砕石輸送を本業とする他の編成と異なり客車牽引のために製造された編成ってこともありますし、万が一の時のことを考えるとTS08以外に牽引させるメリットも特に思いつかないですよね…。

 

一旦停止標識の前で停車。今回の運転にあたってヘッドマークが新調されまして、従来の丸型ではなくウイングタイプを採用。かつて急行型車両に取り付けられていた翼型ヘッドマークを彷彿とさせつつも、近代感のあるデザインとなっています。某炭酸飲料や某魔法使い映画の制作会社を連想してしまう「GV」のロゴは健在です。

 

往復ともにGVが先頭に立つということで、高崎方には色の異なるヘッドマークが取り付けられていました。水上方が「ゴールドタイプ」、高崎方が「ブラックタイプ」です。デザイン自体は同じですが、色が違うとかなり印象が変わります。

 

このままTS08編成は電留5番線の奥の方まで進んでストップ。

 

続いて今回の運行を支える陰の立役者が登場。

 

※入換  GV-E197-103+GV-E197-104 高崎

 

TS04編成の牽引車 GV-E197-103とGV-E197-104です。

 

電留線の構造上、本務の牽引機のほかにもう1機の牽引機が必要となる高崎での組成作業。SLとのプッシュプル運転であれば本務のGVとSLだけで事足りるのですが、基本的にプッシュプル運転にならない水上行きの場合もう1機の牽引機を用意する必要があります。これはSL時代から変わらないことで、かつてはぐんま車両センターのDLやELがその役割を担っていました。

 

GVが初めて本線上で客車を牽引した時はまだ機関車が残っていましたが、あれから廃車が進み、現在ぐんま車両センターに残っている機関車はSLを除くとEF65 501のみ。その501号機も2024年11月に運転された「快速 ELぐんま1fin」をもって引退。これからはGVとSLだけで組成作業を行わなくてはなりません。

 

そんなわけで今回の入換要員に抜擢されたTS04編成。ホッパ車のGV-E196-13~16を外した状態で出区してきました。

 

実は昨年8月の「SLぐんま水上」のGV代走時にもこのTS04編成が入換要員として使用されていました。通常時のGV-E197系は Mzc-Tz-Tz-Tz-Tz-Mzc で組成されているため、入換等で使用するにあたってはTz(ホッパ車)を外した上で牽引車同士を連結する必要があり、その牽引車についても両側が双頭連結器となっているため連結作業にそれなりの手間がかかるそう。そんなわけで、頻繁に編成の組み換えは行わずに特定の1編成を Mzc-Mzc の状態でしばらく使用するという運用になっているようです。

 

このTS04編成はホッパ車を外される頻度が極めて高い編成で、昨年8月は「SLぐんま水上」の入換要員、9月末に宇都宮でEV-E301系との連結試験を行い、11月8日には烏山線内でEVの救援訓練を担当。12月に入って久々にホッパ車を組み込んで本線上を走り秋田へ。翌年の3月2日まで秋田に常駐していましたが、冬の秋田は砕石工臨が運転されないためほとんど運用はなし。そんな中で、1月30日から31日にかけてバッテリー上がりで立ち往生した男鹿線のEV-E801系の救援という大仕事を成し遂げています。

 

高崎に帰ってきてからは4月に3回ほど砕石輸送への充当がありましたが、春の「GVぐんま」運転にあわせて再びホッパ車を外した状態となっています。昨年は少し心配な話が何度か聞こえてきた編成だけに、本線ではなく入換要員に優先的に充てようという意図でしょうか…?

 

…、だいぶ話が逸れてしまいました。TS04編成は電留8番線に留置されていた旧型客車と連結しまして、入換線へ。

 

今度は推進で電留5番線に押し込んでいきます。

 

スタンバイ中のTS08編成の少し手前で停車して、最後はTS08編成が客車に向かう形で連結。

 

これで組成作業が完了です。TS04編成の牽引車は客車から切り離されて、一旦電留6番線へ。最後はTS08編成が推進で客車を入換線に押していき、折り返して高崎駅2番線に入線するという流れです。

 

組成の流れ自体はDL・ELがいた頃と変わらず。ただ、牽引機が4両もいるので、客車が長いと電留線での編成撮りはできませんね…。

 

 

一連の入換作業が撮れたところで高崎駅に戻りまして、いよいよ乗車です。

 

ホームに降りると電光掲示板に案内が出ていました。「快速GVレトロぐんま水上」の文字がしっかりと表示されています。驚いたことに駅の自動放送も対応していたのですが、合成音声だからか「GV」のイントネーションがちょっと不思議な感じでした。いや、まあ全体的に不思議な感じなんですけどね。

 

そして9時40分頃、TS08編成が旧型客車6両を従えて高崎2番線に入線してきました。ホーム上には大勢の鉄道ファンとそれに負けないくらい大勢の関係者の姿。週末の朝の高崎駅の賑わいが帰ってきました。

 

横断幕も掲出されていました。「GVでよいたびを!!」。今回の主役はGVなんだと改めて実感し、早くも涙が止まりませんでした。

 

1954年製の客車と2024年製の牽引機。歳の差実に70年の編成です。

 

9時45分頃に準備が整い、開扉の放送がありました。今年最初の「GVぐんま」で選んだ車両はスハフ42 2173、今回の目玉の1つであるラウンジカーに早速乗車です。

 

JRE MALLチケットで発売されたラウンジカーの乗車プラン。その名も「旧型客車のラウンジカーで上質な時間を!J-Creationアテンダントセレクション 往路ラウンジカー体験プラン」。先ほど2020年の群馬DCに向けて旧型客車のリニューアルを行ったと書きましたが、その際にこのスハフ42 2173は外観こそ維持しつつも内装の大改造工事が行われまして、ラウンジカーとして生まれ変わりました。

 

車内はサービスカウンター・ロングテーブル席・ボックス席の3区画に分かれており、これまでは乗客のためのフリースペースとして使用されてきましたが、今回はこのうちボックス席を軽食・記念品とセットにして事前予約販売するという、初の試みがなされました。

 

2名1組で片道ずつの発売となっており、1名での利用も可能となっています(1名料金の設定はなし)。事前にメールで座席の位置が知らされていたので、後輩氏が受付を済ませている間は座席で待機。

 

そして定刻から3分ほど遅れた9時59分、GVの気笛が高崎の町に高らかに響き渡り、「GVぐんまレトロ水上」は高崎駅を発車。「GVぐんま」の2026年が始まりました。ホーム上の人々と手を振り合いながらゆっくりと高崎を進出。牽引する車両は違えど、かつての高崎の客車列車の姿が、確かにそこにありました。

 

高崎を出ると車内アナウンスが始まり、『車内メロディ「ハイケンスのセレナーデ」の音色が、ここ、群馬の地に戻って参りました。』との情熱的な冒頭文ともに、昨年のD51不具合により群馬を走る客車列車が一時的に運転を取り止めていたこと、そしてこの春から客車列車を再び運転することになったことに触れられていました。あの日「GV・SLぐんま横川」の1番列車に乗っていた身として、ここまでの激動の道のりを思い返し、自然と涙がこぼれてきました。

 

その後、編成の案内と停車駅・到着時刻の案内があり、『レトロ感がただよう旧型客車から流れる、新緑の季節、群馬の車窓をお楽しみください。』との言葉と共に締めくくられた、素晴らしい放送でした。

 

後に10年来の知人とも話しましたが、この「レトロ感ただよう旧型客車」と「新緑の季節の群馬の車窓」が今回の「GVレトロぐんま水上」の本質だったのかもしれません。SLが走れない、だから運転しない、ではなく、「動いている国鉄時代の客車に乗って新緑の上越線を旅する」ということに価値を見出したのではないでしょうか。牽引がSLじゃないとかGVには旅情がないとか、そういうことは、実は些細な問題だったのかもしれません。

 

感動的な車内放送の間に後輩氏が戻って来まして、ラウンジカーでの上質な時間がスタート。まずは190mlの瓶コーラとアイスの引換券が配布されました。手前にある例のフラッグは配布品ではなく、自宅で厳重に保管していたものです。

 

程なくして列車は新前橋に到着。5分ほど停車しまして、次の停車駅である渋川へ。牽引機こそ最新鋭のGVですが各駅の発着時間はSLと同じということで、上越線をのんびりと進んでいきます。

 

20分ほどかけて渋川に到着。3番線に入線しました。ここでは20分の停車時間があるので、ホームへ降りてGVを見学します。

 

こちらにも横断幕が掲出されていました。写真がきっちりTS08+旧客で感動。

 

渋川の停車中には特急 草津・四万31号と水上行きの731Mが追い抜いていきます。どちらの列車に乗っている方々もレトロ感ただよう客車と先頭に連結された謎の車両を興味深そうに眺めていたと思います。たぶん。

 

あっという間に20分が経過しまして、渋川駅の発車時間に。列車はここから日本三大河川の1つ、利根川に沿って進んでいきます。

 

渋川駅を出て大きく右にカーブし、第一利根川橋梁をゆっくりと通過。

 

大水上山を源流とし、群馬・埼玉・茨城・千葉と流れて、茨城県神栖市と千葉県銚子市の境から太平洋に至る利根川。長さは信濃川に次いで全国2位、流域面積は全国1位を誇る日本屈指の河川です。渋川から湯檜曽までの間はほぼ利根川と並行するように線路が敷設されており、途中8つの橋梁で利根川を渡りながら新潟県へと至ります。

 

8つの橋のうち第六・第七・第八利根川橋梁は水上~湯檜曽間にあるので、この「GVレトロぐんま水上」が渡る橋は5つ。次の停車駅の沼田までに5回利根川を渡ります。それぞれの橋が近付くと、車内放送で案内がなされていました。

 

この渋川~沼田間が最も乗車時間が長い区間で、所要時間は31分です。この間にラウンジカーの軽食と記念品を受け取ります。

 

受け取りのためにサービスカウンターへ。このカウンターではグッズや「SLぐんまプレミアムガチャ」などが販売されており、隣接するロングテーブル席(今回はテーブルのみで座席はありませんでした)とあわせてラウンジカーの乗客以外も利用することができます。高崎発車直後はなかなかの混み具合だったので、これくらいのタイミングで並ぶのがちょうどいいのかもしれません。

 

ということで軽食と記念品を貰ってきました。手前にあるフラッグとうちわは今回の配布品ではありません。

 

軽食は瓶コーラとともに受け取った引換券で「スジャータプレミアムアイスクリームバニラ」が提供されます。「シンカンセンスゴイカタイアイス」で有名なあのアイスです。普段の車内販売でも販売されていますが、人気が高く売り切れることもあるそうで、これを人数分確保できるというのが売りの1つです。

 

続いて記念品のご紹介。紙袋の中には「のってたのしい列車」の車内販売を担当しているJ-Creationのアテンダントさんが開発に携わったという「SLぐんま石炭風クッキー」と、D51・C61がデザインされた「SLぐんまスプーン」が1組につき各種1本ずつ入っています。

 

そして最大の目玉(?)がこちら。

 

「GVオリジナルコルクコースター」です。GVと今回新調されたヘッドマーク、そして「GV-E197 Series」の文字。これがラウンジカー乗車を決めた最大の決め手かもしれません。今後のGVグッズの展開に期待です。

 

これに加えてJ-Creationのアテンダントさん手書きのメッセージカードもいただくことができまして、たいへんに充実した内容となっています。あと、これは販売ページに記載がなかったことなのですが、ラウンジカーの座席に加えてあらかじめ指定されている隣の5号車のボックス席も利用することが可能となっています。

 

橋を渡り、トンネルを抜けながら列車は沼田駅へ。元がSL牽引の列車ということもあってかトンネルに入る前にも必ず車内放送がありました。SLなら車内がヤバいことになるので全力で窓閉めを行うところですが、今回はGV牽引なので開けっ放しでも問題ありません。まあ音はなかなかですが…。

 

沼田で8分、後閑で1分の停車がありまして、いよいよ終着駅の水上へ。利根川の流れが造り出した渓谷 諏訪峡を横目にのんびりと進み、水上駅へと進入していきます。

 

水上到着直前、ラウンジカーを担当していた社員の方から「キヤがいます」との案内が。そう、この日は上沼垂から定尺キヤたちが帰ってくる日でして、水上駅での対面を楽しみにしていたのでした。が、直後に社員の方から衝撃の一言、「このあと四季島も来ます」。さすがにひっくり返りました。

 

ということで終着の水上駅に到着。向かい側の3番線には一足早くST-12+ST-23+ST-13編成の上沼垂工臨返空が停車中。キヤによる熱烈な歓迎です。

 

そして社員の方の案内通り後続で四季島もやって来ました。1番線に四季島、2番線にGV-E197系と旧型客車、3番線にキヤE195系。数分の間でしたが、とんでもない情報量となっていました。

 

四季島が発車してホーム上のギャラリーが少なくなったところでGVとキヤの並びを。今回はキヤの方が2両×3編成とやや短く、並びと呼ぶにはだいぶ苦しい位置関係ですが、これも記録ということで。

 

工9734D 上沼垂工臨返空  キヤE195系ST-12+ST-23+ST-13編成 水上

 

しばらく停車したのち、キヤは田端に向けて発車していきました。今回の内訳は柏崎・越後川口・浦佐だったようで、非常にどうでもいいですが輸送番号が新-4・5・6の3連チャンでした。

 

キヤの発車とともにGVの切り離し作業もスタート。あっちに行ったりこっちに行ったり大忙し、今日も新型事業用車たちに振り回されまくっています。

 

客車と切り離したところでしばらく停車。高崎方のヘッドマークがよく見えるようになっていました。

 

このあとはGVの入換を観察。客車を切り離したGVは長岡方に引き上げまして、ここでエンド交換。初めてGV+12系が試運転を行った日は水上でエンド交換してから再び動き出すまで30分くらい待った記憶がありますが、この日はすぐに折り返してきました。

 

1番線の接近放送が流れまして、ブラックタイプのヘッドマークを掲げたTS08編成がゆっくりと入線。2年前に撮った時は下1に留置だったので、1番線を通過するところを撮るのは初。これが撮りたかった。

 

振り向いてもう1枚。この位置で一旦停車しまして、高崎方に引き上げていきます。このカーブを描くホームが実に絵になります。

 

再び2・3番線に移動しまして…、

 

再びエンド交換を行ったGVが上1に入線。

 

この位置で停車。かつてはここに185系が留置されていたんですよねェ…。

 

手歯止が掛けられて電源が切られまして、ここで留置となるようです。

 

これで水上入換の前半戦が終了。復路の発車まではまだまだ時間があるので水上駅前で昼食。いつもなら「ラーメンきむら」一択ですが、この日は隣の隣の「食事処 ちゃこ」へ。駅前の飲食店が限られているのでGV到着直後はかなり混雑していたようですが、GVの入換を見ているうちにピークは過ぎていたようで、すんなり入ることができました。上州名物の「おっきりこみうどん」が有名のようですが、なんとなく白飯を食べたい気分だったので舞茸の天丼を注文。これが大当たりでして、舞茸めっちゃデカいしめっちゃ美味かったです。ネギとわかめの味噌汁と冷奴、漬物もついていまして、コレだよコレ!!って感じでした。

 

 

天丼を食べている間に、駅からおなじみの発車メロディが流れてきました。『ふる里「みなかみ」』です。2009年に町村合併5周年を記念して製作されたみなかみ町の町歌で、優しいメロディと町の魅力が詰まった歌詞が織りなす、みなかみのテーマソング。みなかみ町を拠点に活動しているシンガーソングライターなつこ氏のデビュー曲でもあります。翌年2010年11月1日からは上越線後閑駅・水上駅の発車メロディとして使用が開始されています。

 

近年の発車メロディをめぐる事情としては、2024年10月9日の横浜駅を契機に「JRE-IKST」シリーズが猛烈な勢いで既存のメロディたちを置き換えていき、この上越線も例外でなく高崎~新前橋間と渋川・沼田のメロディがJRE-IKST-025に置き換えられています(その他の駅はもともとメロディなし)が、後閑と水上の『ふる里「みなかみ」』は置き換えられることなく、今日に至るまで15年以上にわたってその美しいメロディを奏で続けています。

 

東日本全域で見てもいわゆる「ご当地メロディ」は置き換えを免れている傾向があるので当面は大丈夫だと思いますが、水上のこの曲は本当に大好きな曲なので、いつまでも流れ続けてほしいなと思うところです。

 

昼食のあとは少し高崎方に歩きまして、水上入換後半戦に備えます。

 

水上温泉街の玄関口 水上駅。温泉街の中心地までは駅から徒歩10分ほどと、意外と近い場所に位置しています。折り返しまで3時間ほどあるので、シェアサイクル等も活用すれば色々見て回れるようです。

 

 

3時間GVを眺めているような変人はごく少数でした。

 

少しではありますが背後の山にはまだ桜が咲いており、春を感じながらあっという間の待ち時間でした。

 

待ちに待った水上入換後半戦がスタート。電源が入り、前照灯が点灯。

 

 

来た道を戻るように高崎方に引き上げていきます。

 

県道61号線の橋の先はかなり桜が残っていました。だいぶ遅咲きなんですね。

 

トンネルの手前まで引き上げまして、ここでエンド交換。GV-E197-201側の前照灯が点灯しまして…、

 

2番線に転線。

 

新緑の木々を背に、GVがよく映えます。SLでこのアングルだとテンダー車が先頭になってしまうので、ここは両運転台を備えたGVのいいところです。

 

ゆっくりと2番線に停車中の客車に接近していきまして…、

 

一旦停車。

 

そして連結。

 

前照灯が点灯しまして、これで水上駅での入換は終了です。

 

 

発車を待つTS08編成。望遠必須のため陽炎が少々気になりますが、なかなかカッコいいアングルで撮ることができます。

 

 

これで水上駅での撮影は終了。復路の乗車のため駅へと戻ります。15時頃に開扉のようで、入換を撮ってからのんびり戻っても余裕があるくらいです。往路はラウンジカーを利用しましたが、復路は普通車指定席を利用。最後尾のスハフ42 2234に乗り込みます。なぜこの車両を選んだのかはこの記事の前半部分を読んだ上でお察しくださいませ。

 

そして15時15分、「GVレトロぐんま水上」は水上駅を発車。復路の旅の始まりです。

 

水上発車後はしばらく大きな右カーブが続きますので、ここでいわゆる「ジャーナル撮り」を敢行。「ぐんま横川」は客車が3両と短かったのでなかなか撮影に難儀しましたが、これだけ客車が長いと撮りやすいです。旧型客車の前にくっついている謎の最新鋭車両、いいですね。

 

復路もSLと同じ時間での運転。後閑で1分、沼田で10分停車しまして、渋川に到着。窓から入る心地よい風と柔らかい夕方の日差し、実に心地よいひとときでした。

 

渋川では14分の停車時間がありまして、ここで特急 草津・四万4号と744Mを先行させます。牽引機がGV×2両になったため、最後部の1両分はホームが嵩上げされていない部分に停車しています。

 

毎日運転の定期列車では最も号数が大きいと話題の  特急 草津40004号に先を譲り、いよいよ旅はクライマックスへ。

 

渋川を出てからしばらくは露骨な減速運転が続き、群馬総社の手前で一気に加速。速度は計測していないのですが、他の方の話では88km/h前後出ていたとのこと。昨年の「SLぐんま水上」代走時に話題になった復路の90km/h超え爆走、さすがに旧型客車ではやらないだろうと思っていましたが、まさかの大激走に感動。TS08が真の実力を見せつけてくれました。

 

なお、こちらの爆走はJRが公式に行っているイベントではなく、運行状況等によっては爆走しない場合もありますので、ご注意くださいませ。

 

爆走のあとはゆっくりと新前橋に滑り込みまして、ここで6分の停車。両毛線からの456Mに道を譲り、高崎に向けてラストスパート。あっという間に2時間が経ち、終着の高崎駅に到着です。

 

 

無事に初日を走破したTS08編成。情熱的な走りを目の当たりにし、心を打たれました。

 

高崎到着後の入換は後日撮影することにして、この日はホームで発車を見送って撤収。東京に戻る後輩氏を見送りまして、宿にチェックイン。どうせ翌日も朝の入換から撮るんであれば1回帰るより泊まった方がいいということで。土→日とはいえ往復の新幹線代を考えればそんなに変わらないですし。

 

宿に荷物を置いたあとは「陳麻家」で1人反省会。陳麻飯が有名なチェーン店ですが、高崎店の餃子はおそらく世界の飲食店で提供される餃子の中で1番美味いと思っています。高崎に行ったら是非食べていただきたいです。マジで。

 

そんな陳麻家での1人反省会のあとはぐんま車両センターへ。

 

初日の運行を終えたTS08編成が静かに眠っていました。

 

ヘッドマークは取り付けられたままでの留置。夜の姿もカッコいいですね。昨年秋に走るはずだった夜汽車のリベンジを是非…。

 

陰の立役者 TS04編成の牽引車はTS08編成と縦列で留置されていました。

 

 

隣にはあっという間にキハ110を置き換えたHB-E220系の姿。高崎地区の新時代を感じさせる光景です。

 

これにて「GVぐんま」2026シーズンの初日が終了。TS08の躍進はまだまだ始まったばかりです。

 

つづく。