れーるノート

首都圏のレール輸送といずっぱこ

10/23 只見工臨など

先週の金曜日の分になります。

 

先週の金曜と土曜に只見線へ行ってきました。今まで全くと言っていいほど縁のない路線でしたので、もちろん今回が初探訪です。

 

木曜の夜に東京を経ち、国道17号線をひたすら北へ。運転手に全てを委ねて爆睡をかましつつ、小出から252号線に入り…、

 

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やって来たのは大白川駅。始発の小出行きが停車中でした。側線には投排雪保守用車のENR-1000の姿も。「投排雪保守用車」ってくらいですから、本来の役目は除雪作業なのですが、これからの時期は落ち葉対策にも使用されるそうです。

 

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2421D 普通 小出  キハ110系2両 大白川~入広瀬

 

少し移動して小出行きの2421Dを。今年の7月まではこの区間をキハ40が走っていたそうですが、見ての通り現在はキハ110へと置き換えられています。ヒャクトーは割と好きなのでこれはこれでアリかなと。

 

で、ここから一気に北上しまして…、

 

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やって来たのは新津工臨でおなじみの新津駅。花と石油と鉄道のまち、そして新潟支社レール輸送の要衝です。

 

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到着すると既に主役が出発の時を待っていました。

 

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工9732 只見工臨  DE10 1700+チキ2車+DE10 1680 新津

 

約1年ぶりの運転となった只見工臨です。新津から小出を経由して只見へと向かうのですが、小出駅只見駅での機回しを省略するため、JR東日本管内ではかなり珍しいDE10のプッシュプルによる運転となっています。小出まで先頭に立つのは先日全検出場したDE10 1700。これが検明け最初の牽引仕業となりました。

 

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ホームに入って後ろからも1枚。小出から先頭に立つのはDE10 1680。

 

昨年度は2度に渡って運転された只見工臨ですが、この1680号機は故障により戦線離脱していたため、只見工臨への登板は今回が初となります。ちなみに、長岡車両センターにはDE10が2機しか所属していないため、昨年度は郡山車両センターからDE10を1機送り込んだ上で使用していました。

 

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そんなわけで、初の長岡釜PPとなった只見工臨。信号が開通し、一路只見へ向けて発車していきます。

 

発車を見送った後は来た道を戻るように只見線方面へ。六十里峠のカーブに悲鳴を上げつつ、やって来たのは2013年に廃止された田子倉駅の近くの撮影地。

 

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工9434 只見工臨  DE10 1680+チキ2車+DE10 1700 大白川~只見

 

電波も通じない中待つこと十数分、主役のお出ましです。ほんのりと黄色く色付き始めた木々の合間を縫い、只見へ向けてラストスパート。雨で後ろの方の山は霞んでしまいましたが、これはこれで雰囲気があっていいなと。懸念していた長さもギリギリ収まってくれました。

 

写真をゆっくり確認する暇もなく、ここから一気に只見駅へ。

 

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到着すると既に取卸しの作業が始まっていました。が、現場でおなじみの山越器が見当たりません。

 

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…、実は只見駅での取卸しは山越器でなくクレーン車を使用して行われるのです。首都圏ではまず見られない取卸しの方法です。これが見たかったので、はるばる只見へとやって来たのでした。

 

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まずレールの両端と内側2ヵ所に金具を取り付け、それぞれにワイヤーを掛けます。

 

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そしてクレーンがレールを吊り上げます。レールの両端から地上の作業員の方の元にもワイヤーが延びているため、吊り上げられた状態でもレールが暴れることはなさそうです。

 

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そして線路脇のレール置き場へと降ろされます。これで1本分の取卸し作業が完了です。

 

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レールの固定方法はこんな感じ。クレーンから延びたワイヤーはレール中央付近の2ヵ所に、そこからレールの端にそれぞれワイヤーが1本ずつ、両端からは地上へワイヤーが1本ずつ延びています。山越器を使用した取卸しはレールを2ヵ所で固定しますが、クレーンを使用する場合は4ヵ所で固定するようです。

 

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後はこの作業が46回繰り返されるわけです。ギャラリーもかなり減ってきたので、角度を変えて色々と撮影。

 

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作業開始時は土砂降りだった雨もかなり弱まってくれました。

 

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紅葉の始まった山を背に行われる取卸し作業。こんなにも季節を感じる現場ってものなかなかないのではないでしょうか。

 

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しばらくして、小出からの2424Dが到着。列車到着時は作業が一旦中断され、ホームからお客さんがいなくなった後に作業再開となりました。

 

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前回の運転時はまだキハ40が現役だったので、只見駅でのDE10とキハ110の並びはこれが初めてだと思われます。

 

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それにしても、こんなにクレーン伸ばすんですね…。 

 

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さて、只見到着からおよそ3時間、これで最後の1本の取卸しが終了となりました。

 

このあと列車は新津へと戻るわけですが、発車まで時間があったので…、

 

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2425D 普通 小出  キハ110系2両 只見~大白川

 

田子倉でキハ110を。工臨の横に停まっていた列車です。この区画はかなり紅葉が進んでいまして、なかなかいい写真が撮れたなと。

 

で、1駅進み、本日2度目の大白川駅へ。1駅といっても、峠をトンネルで突っ切る列車ですら30分もかかるような区間ですので、ぐねぐねと峠越えをしていく車では1本道とは言えどかなり時間がかかります。

 

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工9435 只見工臨返空  DE10 1700+チキ2車+DE10 1680 大白川

 

すっかり日も落ちた大白川駅に只見工臨返空が到着。駅舎側の線路に入線しまして…、

 

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2426Dと交換。なかなかエモい光景です。

 

ここから一気に先回りして、最後は東三条へ。

 

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工9737 只見工臨返空  DE10 1680+チキ2車+DE10 1700 東三条

 

〆のバルブもきっちり回収。チキのプッシュプルって、後ろの機関車の顔も見えるからいいですよね。

 

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停車時間があったので後ろからも1枚。検明けの1700号機、ピッカピカでした。

 

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最後に荷票を。荷受人は長岡保線技術センターになっています。

 

ところで、只見駅は仙台支社管内の駅ですから、本来であれば陸前山王からレールが運ばれてくるのが自然と言えます。しかしながら、2011年7月に発生した「平成23年7月新潟・福島豪雨」の影響で只見線会津川口~只見間が現在でも不通状態となっており、会津若松側から只見駅に向かって工臨を運転することはできません。そんなわけで、越中島から一旦新津を経由して、只見へと向かう段取りになったのだと推測されます。また、昨年から3度に渡って運転されてきたこのレール輸送も、どうやら只見線不通区間の復旧に使用するレールを運ぶのが目的のようで、支社の垣根を超えた災害復旧への動きを垣間見ることができたように思えます。

 

…、とまあそんなことを考えつつ宿へ。翌日に備えて爆睡をかますのでした。

 

つづく。