れーるノート

首都圏のレール輸送といずっぱこ

2021/3/17 新小岩(信)工臨・保土ヶ谷工臨

越中島貨物駅(東京レールセンター)から各地に向けて発送されている首都圏のレール輸送。長きにわたって行われてきた機関車とレール輸送用貨車を用いた輸送方式は2021年3月12日の新津工臨返空をもって終了となり、遂にレール輸送用新型気動車キヤE195系によるレール輸送が開始されました。

 

越中島キヤ工臨はじまりの1日の記録です。

 


 

2021年3月15日から運用を開始した尾久車両センター所属のキヤE195系。まずはST-10編成が越中島貨物駅に、その翌日にはST-15編成とST-20編成が同じく越中島貨物駅に送り込まれています。そして2021年3月17日、この日からキヤE195系を用いた越中島貨物駅発のレール輸送が開始となりました。

 

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ということでやって来たのは越中島貨物駅。つい先日までは黒い板で埋め尽くされていた構内も、すっかりキヤだらけになっていました。積込線にいるのが16日に回送されてきたLT-1編成、線路を2本挟んで前からST-14・ST-9・ST-10編成、その隣にはST-20・ST-15編成が留置されています。

 

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程なくしてST-14+ST-9編成が起動。前照灯と保守用車標識灯が点灯します。越中島キヤ工臨の幕開け、歴史的な瞬間です。

 

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※入換(新小岩(信)工臨) キヤE195系ST-14+ST-9編成 越中島貨物

 

ゆっくりと引上線へ進入。越中島キヤ工臨の初荷は、新小岩信号所行きの定尺レール輸送となりました。

 

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引上線のこの位置で停車。ここからはST-9編成が先頭になり、新小岩信号所へと向かいます。

 

ここで越中島貨物駅からは一旦撤収しまして、南砂線路公園に移動。

 

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工7231D(入換) キヤE195系ST-17+ST-16+ST-18編成 越中島貨物

 

ここでのお目当ては田端から越中島貨物駅への送り込み回送。越中島貨物線区間は初撮影となりました。今回はST-17・ST-16・ST-18の計3編成が一気に越中島へ送り込まれました。

 

この後は新小岩信号所へ。狙いは言わずもがなキヤ工臨の初便です。

 

とは言っても入線なんて撮る暇はなく、荷票のみ確認したら即入換開始。

 

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工7230D(入換) 新小岩(信)工臨 キヤE195系ST-9+ST-14編成 新小岩

 

そのままレールの取卸しを行う線路に突っ込むのかと思いきや、どうも違う場所に停車している様子。チキ車時代とは入換の手順も変わっているようです。

 

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機留線では2つの機関車が出区点検中でした。右は黒砂試単に使用されるEF65 1115、左がこの日の越中島貨物線を担当するDE10 1751です。

キヤE195系の運用開始に伴い越中島貨物線をDE10が走る機会は激減したわけですが、午前便と午後便の間の1往復のみDE10の仕業が残りました。ちなみにこのDE10 1751は現在の木更津常駐機。改正前までは田端からDE10が送り込んで越中島貨物線の列車牽引に充当していましたが、これからは木更津常駐機が使用されるという日も出てくるようです。

 

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続いて総武陸橋の上から1枚。キヤとDE10とPF、過渡期の今ならではの光景です。

 

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程なくして、手前を1093列車が通過。更新色のEF65 2063が先頭に立っていました。

 

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せっかくなので置き換えの進むE217系ともコラボ。全廃はまだまだ先の話になりそうですが…。ちなみにE217系が走っている線路の3つ右隣の線路が新小岩工臨の取卸し作業を行う線路です。この日は取卸しを行う線路には入線しませんでしたが、後日入換が行われ、チキ車時代と同じようにレールの取卸しを行ったようです。

 

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この日はキヤの初仕事ということもあり、作業員の方々がキヤの周りで色々と確認を行っていました。お昼頃になるとキヤの周りには誰もいなくなっていたので撤収しようと思ったのですが、EF65が出区点検していたのを思い出してちょっと居残り。

 

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試単9313 EF65 1115 新小岩

 

せっかくなのでキヤと絡めて1枚撮ってみました。今月3日に全検出場を果たしたEF65 1115。9日には白岡試単を行ったので、最後にチキを牽いてくれるかと思いきやそんなことはなく、今回の黒砂試単から稼働開始となりました。もう牽くものもほとんどないとは思いますが、綺麗になって出てきたからには末永く活躍してもらいたいものです…。

 

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さて、記念すべきキヤ工臨初便の荷票です。チキ車時代は行先票と特大貨物検査票の2枚が差さっていましたが、キヤ工臨は特大貨物検査票のみが差されるようです。

 

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特大貨物検査票そのものも若干変わっており、右上の輸送経路の欄が空欄になっていたり、下の検査日を書く欄の書式も変更されています。

 

チキ車時代との相違点としては、まず定尺レール輸送でも輸送番号が表記されるようになりました。今回の輸送番号は「千-1」、「千」は恐らく千葉支社向けという意味でしょう。長尺レール輸送だと千葉支社向けは「葉」と表記されていましたが、このタイミングで変わったのか、あるいは定尺と長尺は表記を分けるのか、気になるとこです。

 

その下の積載限界と、レールの種類・長さ・本数の表記は変化がありませんが(書く場所が微妙に変わっていますが)、今までチキの車番と行き先が書かれていた 貨車下面と軌条面との間隔 の欄にはキヤの編成名のみが書かれるようになりました。

 

さらに、今までは検査日の下に「千葉機関区」 の判が押されていたのですが、新しい票は日付の横に「尾久車両センター」と印刷されています。

 

どうやら、東北地区で先に運用を開始した小牛田キヤの票の書き方を踏襲しているようです。

 

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参考までに、チキ車時代の荷票。 

 

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ST-14編成側の票も。輸送番号はST-9編成と同じく千-1でした。
 

 

さて、この後は再び越中島貨物駅へ。

 

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午前便で送り込まれてきたST-16・ST-17・ST-18編成が積卸作業場に留置されていました。

 

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ST-16編成とST-17編成は既にレールが積まれており…、

 

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ST-18編成は空の状態でした。

 

で、この後は午後便を撮るためにのんびり移動。越中島貨物線内で1発撮ったのですが、思いっきり遅切りしたのでお蔵入り。これからいくらでも走るので、そのうちリベンジですね…。

 

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ってことで本日2度目の新小岩信号所へ。7番線にキヤ、6番線に交検チキ4両が停車中。

 

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キヤの方は、3月15日に越中島貨物駅に送り込まれたST-10編成です。

 

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こちらもまずは票を確認。輸送番号は浜-4。浜は横浜支社向けって意味だと思いますが、1じゃなくて4なんですね…。

 

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発車までかなり時間があるので一旦エンジンを落とすのかと思いきや、両エンド尾灯をつけた上でアイドリングしっぱなし。これはちょっと意外でした。

 

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この日は朝から移動しっぱなしだったので、ここでようやくレールを積んだ状態のキヤを間近で眺めることができました。レール積付具はこんな感じ。

 

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こちらはチキの緊締装置。基本的な構造はそんなに変わっていないように見えます。

 

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話をキヤに戻しまして…。レールの中央部分は、ロープではなく青いベルトで固定されています。両端はチキ車時代に引き続きロープで固定を行っていました。

 

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1段目と2段目の間には木の板が挟まっていました。

 

で、発車までまだまだ時間があったので、再び新小岩工臨のキヤが留置されているところへ。

 

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積み荷もちょろっと観察。ST-9編成側は端部熱処理レール多めでした。

 

そうこうしていると少しずつ暗くなってきたので…、

 

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陸橋へ移動して1枚。朝から色んな光景を見てきましたが、7番線にキヤが停まっているこの光景が一番未来を感じました。

 

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下に降りて後ろからも1枚。明るいところで見る姿とはまた違ったよさがあります。

 

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1090列車との並びも。改正後もEF65が充当されるようで、しばらくはこの並びが日常的に見られそうです。

 

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縦でも1枚。新設された照明がいい感じですね。この状態で前照灯が点いたらかっこいいだろうなあと思って、まあ前照灯点いたたんですが、想像以上にライトが強くて撃沈しました。

 

ってやっていたら発車時間になってしまったので、中央線で先回り。

 

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工9865D 保土ヶ谷工臨  キヤE195系ST-10編成 西国分寺

 

キヤの夜発送第1便、保土ヶ谷工臨です。チキ車時代は一旦東高島まで向かい、そこから改めて保土ヶ谷まで向かうという手順で運転されていた列車ですが、キヤ化に伴い越中島貨物駅から直接保土ヶ谷まで向かうようになりました。支社ごとに複数の行き先をまとめて拠点駅まで持っていく従来のスタイルは、今後あまり見られなくなりそうです。

 

ここから先の区間も見どころはたくさんあるみたいですが、疲れたのでここで撤収。長い付き合いになりそうですし、のんびりと追いかけていこうと思います。

 


 

小牛田組の本格稼働開始から約4ヶ月、遂に尾久車両センター所属のキヤE195系を使用したレール輸送もスタートしました。首都圏レール輸送の歴史が動く瞬間に立ち会えたことは、レール輸送ファン冥利に尽きます。ここからはじまる「新しいレール輸送の姿」を、できる限り見つめていきたいと思います。

 

随分と長くなってしまいました。最後までお読みいただき、ありがとうございました。