れーるノート

首都圏のレール輸送といずっぱこ

2021/4/9-10 取手工臨

先週の金曜日から土曜日にかけての分です。

 

2021年3月15日から運用を開始した尾久車両センター所属のキヤE195系。3月は1000番台を用いた定尺レール輸送の運転のみに留まりましたが、4月に入り、遂に0番台を使用した長尺レール輸送が開始されました。

 

本来であれば越中島貨物駅から追いたいところですが、外せない用事があったので夜の新小岩からスタート。久々の現場参戦となりました。

 

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工9723D 取手工臨  キヤE195系LT-1編成 新小岩

 

新小岩信号所に着くと、既に7番線にロンキヤが停車中でした。キヤE195系最初の長尺レール輸送は、量産先行車のLT-1編成が充当されました。

 

このLT-1編成は3月16日に尾久~蓮田~新小岩信~越中島貨物という経路で越中島貨物駅へ送り込まれていました。しばらくは積み込み等の訓練に使用されていたようで、1ヶ月ほどの越中島貨物駅滞在を経て、ようやくの運用入りとなりました。

 

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先日キヤ工臨を見に新小岩を訪れた時は、新小岩到着後から発車までアイドリングしっぱなしだったわけなのですが、この日は23時台に新小岩を発車する列車ということで、さすがに一旦エンジンを落としていました。

 

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続いて荷票。定尺キヤと同様にチキ車時代とは若干仕様の異なる特大貨物検査票を使用しています。記載事項にも変化が見られ、チキの両数の代わりにキヤの編成名が表記されるようになり、行き先(というか回転駅)が書かれなくなりました。輸送番号についてはロンチキ時代と同様に支社名と南or北の漢字2文字+番号で表記されていますが、漢字と数字の間は = ではなく - が用いられるようになりました。

 

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比較用にロンチキの荷票を。

 

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続いて積み荷を観察。60Kレールが4本載っていました。

 

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今回はキヤE195-101側のエプロンを使用して取卸しを行うので、レールはこちら側に寄せて積載されています。

 

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キヤE195系は全長が200.2m(18.2m×11両)ありますので、片側の先頭車に寄せて150Mレールを積載すると、もう片側には約2両分のレールの載っていないスペースが生まれます。どちら側の先頭車にレールを寄せるかは取卸し現場の向きによって変わるものと思われます。

 

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細部の観察はここらへんにして新小岩からは撤収。今度は明るい時にじっくりと見たいものです。

 

さて、ここから常磐線を下って天王台駅へ。

 

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工9723D 取手工臨  キヤE195系LT-1編成 天王台

 

取手終を追うようにロンキヤが颯爽と登場。今回は上り線現場なので、次の取手駅で折り返して取卸し現場へと向かいます。

 

通過を見届けてから駅前で拾ってもらい、キヤより一足早く取卸し現場へ。記念すべき1発目の現場は常磐快速上り線の天王台~取手間でした。

 

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工9722D 取手工臨  キヤE195系LT-1編成 取手~天王台

 

程なくして、取手駅で折り返してきたロンキヤが現場に入線。作業員の方の合図に合わせて停車します。ここらへんの段取りはロンチキの頃とあまり変わりません。

 

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機外停車中のLT-1編成。昼間に見る姿とはまた違ったよさがあります。

 

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しばらくして、作業開始地点への移動がスタート。

 

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中間車の照明は既に点灯していました。

 

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このあたりで一旦停車。取卸しに使用される最後部車両は尾灯と作業灯が点灯していました。ロンキヤ1発目ということもあってか、今までに見たことのない数の関係者の方々が作業を見守っていました。

 

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シュートの部分を拡大してみると、既にレールがギリギリのところまで引き出されていました。

 

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そして列車が前進し、地上側に固定されたワイヤーがレールを引き出していきます。キヤE195系を使用した初めての長尺レール取卸しが始まりました。

 

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列車はどんどん前進していき、レールが地上に降ろされていきます。取卸しの方法自体はロンチキとほぼ同じですが、チキ車時代に比べて作業ペースは速くなった印象を受けました。

 

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先回りしまして、今度は陸橋の上から作業を観察。ちょうど中央緊締車が通過するところでした。

 

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上から見るとレールの動きがよくわかります。レールは荷台の上を流れるように進み、運転台の下をくぐって地上へと誘導されます。

 

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ちょうど陸橋の下あたりが2本目と3本目の接続部分になりました。

 

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振り返って最後部車両を上から。ロンチキの照明と同様にライトがなかなか強烈ですが、角度をつければなんとか撮れるかな…、って感じです。

 

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遠目に見るとやっぱり東海のキヤ97の兄弟だなあって感じがしますが、シュートやレール載せの白色がいいアクセントになってるなと。

 

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で、陸橋の下へ。取卸し作業もいよいよ終盤です。

 

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奥に見えるのが天王台駅です。

 

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場内の手前で150Mレール4本の取卸しが完了。

 

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天王台駅のホームに頭を突っ込んだところで停車。撤収作業が行われていました。

 

ロンチキであればこの後は新小岩信号所経由で越中島貨物駅へと帰っていくのですが、ロンキヤはこのまま常磐線を上り、田端へと戻っていきます。終電の後ろをスーッと下っていき、始発の前には田端に到着しているというわけです。取卸し作業自体も1時間ほどで終わり、なにもかもがスマートになったなあという印象を受けました。

 

 

さて、短キヤの稼働開始から約1ヶ月が経ち、遂にロンキヤも運用開始となりました。LT-1編成の甲種輸送から約3年半、本当に色々ありましたが、ここで一段落といったところでしょうか。

 

これで東北地区の長尺レール輸送を除き、チキからキヤへの移行が完了となりました。量産先行車はどちらも小牛田配置だったので、越中島の方が先に置き換えが終了したのはちょっと意外でした。まあ何はともあれ、無事に世代交代を見届けることができてよかったです。

 

これから定尺キヤもロンキヤもどんどん運用範囲を拡げていくことでしょう。時間を見つけてのんびりと追っていけたらなと思います。

 

以上です。

 

2021/4/3 田端操工臨・品川工臨

昨日分です。

 

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遂にキヤがここにも進出です。

 

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田端操工臨(留置) キヤE195系ST-10+ST-1+ST-13編成 田端操

 

2021年度最初の発送、田端操工臨が運転されました。3編成を繋げての発送はこれが初めてとなります。

 

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従来は田端操到着後にチキを機関車から切り離し、モーターカーに付け替えてここまで持ってきていましたが、キヤになったらそんなことをする必要はありません。自力でここまで突っ込んできます。

 

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荷票はこの3枚。輸送番号は 東-6 でした。東京支社向けのキヤ工臨もこれが初めてとなります。チキ車時代は年度が変わると輸送番号がリセットされていたわけなんですが、キヤも同様にリセットされているかはまだ判別ができなさそうです。そもそも2020年度のキヤ工臨は半月しか走っていないわけですし…。

 

で、まあキヤになって初の田端操工臨ってのも見どころの1つなのですが…、

 

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最大のポイントは真ん中に挟まれたST-1編成。

 

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ST-1編成と言えばキヤE195系1000番台の量産先行車で、レール積下装置が取り付けられた唯一のキヤです。2月19日にST-9・ST-14編成と共に東京レールセンターへ回送されたのですが、ST-1編成のみ3月12日に所属先へ返却されています。

 

運用入りはしばらく見送られるのかと思いきや、3月31日にST-10・ST-13編成と共に再び東京レールセンターへ送り込まれ、今回の田端操工臨で遂にレール輸送デビューとなりました(小牛田車時代に何度かレール積んで走ってますけど…)。

 

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とは言ったものの、ST-1編成の荷台に積まれていたのは40Nレール1本。田端操向けで40Nってのは聞いたことないですし、1本だけってのも不自然ですし、恐らくレール積下装置の試験用なんじゃないかなと個人的には思っています。

 

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尾久キヤの異端児 ST-1編成。今後の運用方法が気になるところです。

 

 

おまけ

 

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夜発送の品川工臨。荷票だけ見てきました。

 

以上です。

 

2021/3/31 田端運転所

2020年度最後の1日となった3月31日。首都圏レール輸送の世代交代を追ってきた1年だったし〆もキヤで…、と思い田端運転所へ。

 

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…、想像を遥かに上回る数のキヤがいました。

 

手前から2本目の線路にST-19編成、その隣にST-9+ST-8+ST-21編成、その隣がST-17編成、1本空いてST-18+ST-15+ST-20編成、一番奥にST-11+ST-12+ST-14+ST-16編成という顔ぶれ。全17編成中12編成が南部機待に留置されていました。

 

残りのST-1・ST-10・ST-13編成はこの日の朝に越中島貨物駅へ送り込まれ、ST-22+ST-23編成は尾久車両センターの方にいました。また、ST-18+ST-15+ST-20編成については今朝越中島貨物駅に送り込まれたようです。

 

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3月は11本のキヤ工臨越中島貨物駅から発送されました。これからもっともっと色々なところに入線するようになることでしょう。のんびりと追いかけていけたらなと思います。

 

2021/3/26 平塚工臨・韮崎工臨

一昨日の分です。

 

キヤE195系の運用開始で、従来の輸送形態に変化が生じている首都圏のレール輸送。その象徴とも言える列車が運転されたので、様子を見に行ってきました。

 

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やって来たのは東海道線平塚駅。2番線に「キヤ折2」の停止位置目標が設置されていました。少し下り方に行くと「キヤ折4」の停目も確認できました。

 

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3番線にも同様に「キヤ折2」の停目が設置されていますが、「キヤ折4」の停目は見当たりませんでした。

 

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停目は東神奈川駅に設置されていたものと同じタイプのもの。周りにはメモ書きのようなものも残っていました。

 

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続いて3番線から東京方を望みます。E231系がいる線路が旅客線の下り本線で、その隣が駅の南側にある留置線に出入りする際に使用する引上線です。

 

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さすがにホームからはっきりとは見えませんが、この引上線にも「キヤ折2」「キヤ折4」と思われる停目が設置されています。

 

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で、2番線に移動。程なくして、本題が東京方からやって来ました。

 

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工9893D 平塚工臨  キヤE195系ST-8編成 平塚

 

キヤE195系の導入で新たに登場した「平塚工臨」、なんとも新鮮な響きです。先程の「キヤ折2」の停目で停車しました。

 

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ベタですが、駅名標と絡めて1枚。

 

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荷票はこんな感じ。輸送番号は 浜-6 でした。そしてなにより、今回充当されたのはなんとST-8編成。

 

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2020年9月17日の公式試運転でトラブルに見舞われ、測定車の座を降ろされたST-8編成。翌月のリベンジ試運転以降は動きが見られませんでしたが、ここで遂に実戦投入と相成りました。

 

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で、エンド交換が終わり入換信号が開通。キヤの停目が設置された引上線へと向かっていきます。

 

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この位置で停車し、再びエンド交換。

 

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駅の南側にある留置線へと進入していきます。

 

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この位置で停車し、エンジンが切られました。JRの運転士さんの乗務はここで終了のようです。ここでしばらく留置され、恐らく終電後だと思いますが、平塚駅の東側にある平塚保線技術センターの保線基地へと移動されます。留置線から保線基地までの移動の様子は見ていないのですが、たぶん今話題(?)の保守用車モードで移動したのではないでしょうか。

 

さて、この平塚工臨はキヤE195系の導入で新たに登場したと書きましたが、実は以前から平塚保線技術センター向けのレール輸送は行われていました。チキ車時代の「相模貨物工臨」と呼ばれていた列車です。

 

相模貨物工臨は東高島駅を拠点に運転されていた横浜支社向けのレール輸送で、その名の通り相模貨物駅まで向かう列車なのですが、実は荷受人は平塚保線技術センターでした。東高島駅から一旦相模貨物駅に向かい、終電後にモーターカーで平塚の保線基地まで移動、という段取りでレール輸送が行われてきました。

 

相模貨物駅よりも平塚駅の方が平塚の保線基地まで近いわけですが、駅の構造など諸々を考慮すると相模貨物駅にチキを留置した方が都合がいいので、チキ車時代は平塚保線向けのレール輸送を相模貨物工臨として運転していたのだと思われます。JR東日本向けのレール輸送なのに行き先が貨物駅なのはこういうワケがあった故のことでした。「相模貨物工臨」と「相模貨物行きレール臨貨」が存在するのもこれが原因です(相模貨物駅JR貨物の持ち物)。ややこしいですね。

 

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そんなわけで平塚保線向けのレール輸送は相模貨物工臨として運転されてきたのですが、工臨がキヤになったことで機回し等が一切不要になり、駅の留置線にも難なく入れるようになりました。こうなればわざわざ相模貨物まで行く必要はなく、平塚駅の留置線に置いておいた方が都合がいいはずです。

 

恐らくこんな背景から誕生したのが「平塚工臨」だったのではないでしょうか。

 

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営業列車の合間を縫って留置線に入り、あとは保線技術センターの方々が基地まで移動させる。キヤE195系の特長が存分に発揮されている列車の1つと言えるでしょう。

 

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機関車+貨車に比べて小回りが利くし、保線基地には自力で入線できるし…。新時代の工臨を担うのに相応しい車両だなと改めて実感しました。

 

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以上、平塚工臨のレポートでした。

 

で、夜に再出庫してもう1本。

 

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工9941D 韮崎工臨  キヤE195系ST-14編成 新秋津

 

人身事故でダイヤが乱れる中、懐かしの新秋津中線にキヤが入線。個人的にはなかなか衝撃的な光景です。

 

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こちらは夜発送の韮崎工臨。かつては八王子駅を拠点に運転されていた列車ですが、キヤ化に伴い越中島貨物駅から韮崎まで直送となりました。八王子支社も複数の行き先をまとめて拠点駅まで持っていく従来のスタイルから各輸送先まで直行させるスタイルに移行したようです。短キヤ6本繋げて八王子工臨!!ってのも見てみたかったですが、どうやらそれは実現しなさそうですね…。

 

ちなみにこちらはST-14編成が登板。まだ運用入りしていない編成もある中、早くも2回目のレール輸送登板となりました。

 

この日はこれにて撤収。首都圏レール輸送の新時代を大いに実感した1日でした。

 

以上です。

 

2021/3/22 上沼垂工臨・試9833D

月曜日の分になります。

 

まずは新小岩信号所へ。

 

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工7230D 上沼垂工臨  キヤE195系ST-16+ST-17編成 新小岩

 

越中島貨物線の午前便が到着です。キヤE195系の運用が開始して初めての新潟支社向けレール輸送が運転されました。前が宮内行きのST-16編成、後ろが東三条行きのST-17編成です。編成の長さはDE10+チキ4車とほぼ同じなのですが、最後尾にも運転台があるからなのか、なんともバランスの悪い1枚になりました。

 

チキ車時代の新潟支社向けの定尺レール輸送は、複数の行き先分をまとめて一旦新津まで持っていき、そこから各地へ輸送されていくという方式で運転されてきました。キヤE195系導入に伴い輸送形態が変化した支社もありますが、新潟支社に関してはチキ車時代の輸送形態が引き継がれることになったようです。ただし、拠点が新津からさらに先の上沼垂(新潟車両センター)に変更となったため、「新津工臨」の愛称は消滅となります。

 

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荷票はこの2枚。輸送先が異なるので、輸送番号も別々に設定されています。レールの本数は偶然にも同じ44本でした。行き先が書かれなくなったのでこの工臨を何と呼べばいいのか悩ましいところですが、とりあえずこのブログでは「上沼垂工臨」と呼ぶことにします。

 

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発車まで見送って新小岩からは撤収。赤羽駅に向かいます。

 

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工9513D 上沼垂工臨  キヤE195系ST-17+ST-16編成 赤羽

 

真昼間の赤羽駅工臨が登場です。なんとも異様な光景ですが、この正体は先ほど撮った上沼垂工臨です。新小岩信号所を出た上沼垂工臨金町駅で折り返して田端信号所を通り、東北貨物線経由で大宮へと向かっていきます。そのため、先程とは編成の向きが変わり、ST-17編成が先頭になっています。

 

チキ車時代は大宮方面に向かう大半の列車が新金線~常磐線武蔵野線東北貨物線というルートで走行していましたが、キヤE195系の導入に伴い運転経路が変更になりました。どうやら編成の向きが関係しているようですね。

 

この後は高崎線を北上し、やって来たのは本庄駅

 

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工9733D 上沼垂工臨  キヤE195系ST-17+ST-18編成 本庄

 

2番線に停車中のGV-E197系をキヤE195系が追い越していきます。レール輸送用新型気動車と新型砕石輸送気動車がホームを挟んで並ぶ、激アツな光景が繰り広げられました。GV-E197系の運用が開始されてもなかなか見られない並びなんじゃないでしょうか。

 

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いいもん見れました。

 

工臨の追っかけはここで終了。そのうち高崎から先の区間も撮りに行ってみたいものですね。

 

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試9833D GV-E197系TS-01編成 本庄

 

で、せっかくなので今回はGV-E197系の方を観察してきました。なんだかんだでこれが初撮影となりました。

 

JR東日本が2021年1月19日付のプレスリリースで導入を発表した新型砕石輸送気動車GV-E197系。機関車と砕石用貨車(ホキ)を用いて行われてきたバラスト輸送の置き換えを目的として、まずは量産先行車のTS-01編成が高崎車両センターに配置されました。既に運用が開始されているレール輸送用新型気動車キヤE195系のバラスト輸送版といったところで、やはり編成の両端に運転台を設けることによる入換作業の効率化がメリットとして挙げられています。ただし、キヤE195系が純粋な気動車である一方、GV-E197系は電気式気動車なので、電車の免許のみを持っている乗務員でも条件付きで(エンジン等に関する教育を受けた上で)運転することができるという独自のメリットもあるようです。

 

また、運転台と荷台が一体となっているキヤE195系とは異なり、GV-E197系はGV-E197形という牽引車でGV-E196形というホッパ車を挟むという編成になっています。ホッパ車は構造が特殊なので、キヤのように運転台と一体化することは難しいのだと思われます。両数もそれなりに必要ですしね。

 

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牽引車のGV-E197形はこんな顔をしています。なんとなく201系や205系あたりを彷彿とさせる国鉄チックな顔立ちです。車両の両端に運転台が付いており、牽引車単独での走行も可能となっています。

 

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両エンドに双頭連結器を装備していることも大きな特徴として挙げられます。これは非電化区間での入換や回送を牽引することも想定しているためで、将来的にはホッパ車以外のものを牽く姿も見られるようになりそうです。

 

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顔の上にはキヤE195系と同じく保守用車標識灯が設置されています。こちらも保守用車としての走行が可能になっているようですが、現在の砕石輸送の運行形態を見る限りではキヤE195系ほど使用する場面は多くないような気がします。

 

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続いてホッパ車のGV-E196形。パッと見は白いホキ800形といったところです。

 

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ただし、車体長が従来のホキ800形より3mほど長くなっており、デッキの部分に諸々の機器類が設置されています。

 

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こちらは従来のホキ800形にも見られるハンドルとレバー。ハンドルを回すとホッパ(砕石の貯蔵槽)の底が開き、砕石が軌道上に散布されます。

 

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レバーは砕石がホッパから落下する際に転がっていく部分(落し板)の向きを変えることができるもので、これを調節することで軌間内外への散布が可能となっています。ホキ800形の特長をこのGV-E196形もしっかりと引き継いでいるようです。

 

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比較用にホキ800形の写真も。基本的な構造はホキ800形もGV-E196形も同じで、後者は諸々の機器が搭載されたホキの進化版といったところでしょうか。

 

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ちなみに連結器は密着連結器です。密連を装備した貨車ってのは初めて見ました。

 

以上、新型砕石輸送気動車GV-E197系の簡単なご紹介でした。C97で頒布した『臨時工事列車 Vol.2』で砕石輸送のことを取り上げたので、このGV-E197系関連の記事も書いてみたいなと思っているところなのですが、如何せん次のコミケがいつ開催されるのかわからない状況なので、まあのんびりと準備していこうと思っております。

 

以上です。