れーるノート

首都圏のレール輸送といずっぱこ

2022/9/22 鉄道博物館

先週の木曜日の分になります。

 

先週は久々に埼玉の方の鉄道博物館に行ってきました。久々と言っても7月にカメラを持たずに訪問しているので実質2ヶ月ぶりですが…。まあ今年は鉄道開業150年のメモリアルイヤーですから、何度訪問したっていいですよね。年間パスポートの発売が休止中なのが残念です。

 

機材一式を持って訪問するのは約2年ぶり。当時比べると諸々の規制が若干緩和されたようで、当日券の販売も再開(販売在庫がある場合のみ)していました。コンビニ発券のみという点は変わっていませんが、空いている日であればかなり気軽に行けるようになったなと思います。

 


 

さて、今回の訪問の目的はと言いますと…、

 

エントランスの正面に鎮座するこの車両です。形からなんとなく想像がつきそうですが…。

 

その正体は「ロクイチ」ことEF58形61号電気機関車。東京総合車両センターからの輸送の時点で目撃情報が上がっていましたが、9月21日付で鉄道博物館より常設展示が正式発表されました。

 

※2022年9月21日付 プレスリリース『鉄道博物館におけるEF58形61号電気機関車の常設展示について』

https://www.railway-museum.jp/news/pdf/20220921_1.pdf

 

1946年から1958年にかけて製造が行われたEF58形電気機関車。全172両が製造されましたが、その中でも1953年に製造された60・61号機は史上初となる「お召列車専用機」として誕生しました。

 

補佐的な役回りとなった60号機のお召列車牽引が数回に留まった一方で、61号機は90回以上にわたってお召列車を牽引。いつしか「ロイヤルエンジン」と称されるようになり、その圧倒的な人気はもはや語るまでもありません。

 

そんな61号機ですが、2001年3月28日のお召列車牽引を最後に第一線を退き、以降は他のEF58と共に客車・貨車等の牽引に従事。その後、2008年6月20日の回送(田端→東京総合車両センター)が最後の自力走行となり、東京総合車両センターでの長い眠りにつきました。

 

それから14年の歳月が経ちましたが、その間全く姿を見せなかったわけではなく、夏の恒例行事であった「東京総合車両センター 夏休みフェア」で3回ほど展示されました。

 

 

中でも2018年に開催された同イベントではパンタグラフ上昇、前照灯点灯、そして日章旗・御紋章を取り付けた状態で展示され、大きな話題となりました。

 

その後のうごきはご存知の通りで、2022年9月17日から18日にかけて東京総合車両センターから大宮総合車両センターに陸送され、19日に鉄道博物館に搬入。現在は白いシートをかけられた状態でお披露目の時を静かに待っています。

 

EF58 61の展示開始は10月30日とのこと。あと1ヶ月です。

 

 

ところで…、

 

鉄道博物館には既にEF58が1両展示されています。

 

それがこの89号機です。61号機が製造された経緯を考えればこの89号機とはもはや「別物」ですから、同形式が2両展示されていてもそこまで不思議なことではないのかなと思います。

 

 

さて、ここからは他の展示物のご紹介を。時間がなかったのであまり回れませんでしたが…。

 

まずは国指定重要文化財「1号機関車」から。日本初の鉄道開業に合わせてイギリスから輸入された機関車のうち、日本に最初に到着した機関車であることから「1」が付番され、1号機関車と呼ばれるようになりました。新橋~横浜間の列車牽引を8年ほど勤めたのち、30年ほど国内を転々とし、1911年に長崎県島原鉄道に譲渡されました。その後、1930年に鉄道省に返還され、整備ののち万世橋交通博物館へ。そして2007年よりこの鉄道博物館にて展示されて今に至るというわけです。

 

ちなみに、後ろに連結されている客車は1870年代後半あたりに使用されていた客車を復元したものだそうです。

 

そして、足元にはしっかりと双頭レールが敷かれています。軌道も展示物の一部です。

 

ところで、この日は1号機関車の隣に「鉄道開業150年記念 純金製1号機関車」が特別展示されていました(9/21~25限定だったそうです)。なんとこれ、JRE MALL内で実際に販売されいるらしく、価格は15,000,000円。ひえぇ…。

 

ちなみに、2Fの「鉄道車両年表」のゾーンにも1号機関車の模型が展示されていまして…、

 

双頭レールまでしっかりと再現されています。素晴らしい。

 

 

続いてのご紹介は車両ステーションの端にある展示棟。

 

0系の車両展示、そして東海道新幹線開業時の東京駅のホームの情景が再現されています。京都鉄道博物館をはじめ、0系の保存車は国内外に多数存在しますが、展示の気合いの入り方はここが一番だと思います。なにせ展示棟を1つ新設したくらいですから…。

 

展示されている車両は0系21形2号車、第2編成の大阪方先頭車です。正直なところJR東日本とはあまり縁のない0系新幹線ですが、2008年にJR西日本からこの0系21形2号車を譲り受け、2009年よりこの鉄道博物館で展示をしているとのこと。鉄道の歴史を語る上で欠かせない存在ですからね。

 

開業時の装飾のほか、

 

発車標も再現されています。

 

サボには「超特急ひかり 1  新大阪」の文字。

 

乗務員扉のガラスには開業当時の編成名「N2」が記されています。

 

車内が公開されているのはもちろん、

 

車両の床下機器・台車・レール等を観察できる構造となっているのもこの鉄道博物館ならではです。

 

 

さて、0系を堪能した後は本館を南北に突っ切りまして…、

 

工9748D 渋川工臨返空  キヤE195系ST-9編成 宮原~大宮

 

パノラマデッキから渋川工臨返空を。中1日置いて返却のイメージがある行き先ですが、前回同様に発送翌日の返却となりました。

 

 

で、本館への戻り際に…、

 

コレクションギャラリーを少しだけ見学。確か右下に山型の「富士」があったはずなのですが、どこかに貸し出しているんでしょうか…?

 

 

再び本館を南北に突っ切りまして、今度は南館へ。

 

お目当ては3Fの「歴史ステーション」。日本初の鉄道が開業した際に使用されていた軌道の一部とかいうとんでもないものが展示されています。

 

奥へと進めば保線の歴史までもが紹介されている充実っぷり。鉄道の歴史は保線の歴史でもあります。壁にはしれっとロングレール黎明期の記事が掲示されており、京都鉄道博物館の「線路を構成する設備」の区画に匹敵する国宝級の展示となっています。

 

同じく国宝級の展示物として、寝台特急「瀬戸」高松行き1番列車に掲出されたことで有名な「祝 瀬戸大橋線開通」のヘッドマークも展示されています。あの日EF65 1118に掲出されていた実物なのか、それとも何枚か存在していたうちの1枚なのか…、気になるところです。

 

そして最後に辿り着くのがこのエリア。

 

ヨーロッパの豪華列車が日本中を駆け巡るという夢のような企画、「オリエント・エクスプレス'88」のヘッドマークも展示されています。既に廃止となった「オリエント・エクスプレス」ですが、2024年のパリ五輪開催に合わせて復活すると報じられています。「いずれは東京へ…」なんて話もあるとかないとか、そんな噂があるみたいですが、果たして真相は…。

 

 

このように、かなり充実している「歴史ステーション」ですが…、

 

本館2Fの鉄道車両年表もまた圧巻です。

 

ロコモーション号・ロケット号から、

 

現代の車両まで、写真と模型がずらりと並んでいます。このあたりからなかなか刺さる写真が多いです。

 

また、今年は「新幹線YEAR」ということもありまして、年表の隣で「北陸新幹線開業25周年記念特別展示」が行われていました。この特別展示は第一弾から第六弾まであり、北陸新幹線は第四弾とのこと。この後は上越新幹線開業40周年、最後に東北新幹線八戸開業20周年という順番になっています。

 

 

さて、まだまだ見たいところはたくさんあったのですが、ここで時間切れ。

 

閉館前にもう一度EF58 61の姿を眺めてきました。

 

何やら作業が行われていたようで、特徴的な大型の2枚ガラスがうっすらと浮かび上がっていました。

 

 

展示開始が待ち遠しい限りではあるのですが、白いシートを被った姿が見られるのは今だけ。そう考えると、これはこれで貴重な記録になるのではないかなと思います。

 

以上です。