先週の金曜日の分になります。
越中島貨物駅(東京レールセンター)から各地に向けて発送されている首都圏のレール輸送。長きにわたり機関車とレール輸送用貨車を使用して運行されてきましたが、車両の老朽化に伴い気動車方式への切り換えが決定しています。JR東日本東北地区では、定尺レール輸送に関しては既に気動車方式への切り換えが完了しており、従来使用されていたチキ6000形については全て廃車となっています。
そして遂に、首都圏エリアでの機関車と貨車を用いたレール輸送にも終焉の時がやって来ました。越中島貨物駅から最後のチキ工臨が発送された1日を追いました。
そんな歴史的な1日の幕開けはキヤからスタート。朝のヒガジュウへ。
試9521D キヤE195系LT-3編成 尾久~赤羽
先月の22日に尾久車両センターへ到着したキヤE195系LT-3編成の公式試運転が行われました。今回も測定コンテナは上野方に積載されています。尾久キヤの公式試運転は、どうやらこれが最後になるようです。
この後は用事を済ませ、いよいよ越中島貨物駅へ。
まずは運河の対岸から積卸作業場の様子を。先月の19日に越中島貨物駅へやって来た短キヤが留置されています。
よく見るとST-14編成とST-9編成には既にレールが積まれていました。短キヤにレールが積まれているところを見たのはこれが初めて。感動しました。
一方のST-1編成にレールは積まれていませんでした。
移動機の後ろには控車のチキ6421。JR貨物のチキも控車に使われるんですね。
で、昼飯を済ませて構内の北側へ。
新型クレーンの掴み器具が下に降りていました。どうやら試験が行われていたようです。
これがクレーンの完成形だとは思うのですが、6号機の下には謎の器具がもう1つ。なんだろう…?
で、しばらく様子を見ているとクレーンが動き始めまして…、
レールの吊り上げが始まりました。
こちらは2月15日に訪問した時の写真。ビニールがかけられている部分がレールを掴む部分のようで…、
実際にレールを掴むとこんな感じになります。吊り上げて水平移動して降ろす、という一連の動作を何回か繰り返していました。とにかく音が静かでびっくり。
で、引上線側に目を移すと、見慣れない移動機が1両。最初見た時は黄色い移動機30号を塗り替えたのかと思いましたが、どうやらそういうわけではないみたいです。
一通り構内を観察したところで、しおかぜ橋にスタンバイ。移動機の長い汽笛が鳴り響き、入換が始まります。
※入換 TMC500W 308+チキ6421+チキ6車 越中島貨物
越中島貨物駅から発送される最後のチキ工臨の入換です。一見いつもと変わらぬ光景ですが、新型クレーンを背にチキ工臨が発送される光景は、僅かな期間しか見ることができなかった貴重な記録になるんじゃないかと思っています。
で、橋の下に移動しまして…、
着発線への押し込みを。手前の線路に留置されていた大量のチ・チキが解体のために宇都宮タへと回送されたようで、編成撮りができるようになっていました。
DE10と移動機と試験中の新型クレーン。越中島チキ工臨最末期の姿です。
このあと移動機と控車はチキを切り離して引上線へ。
着発線ではDE10が連結作業中。ここから新小岩信号所まではDE10 1603が先頭に立ちます。
点検が終わり、いよいよ新小岩信号所に向けて出発。越中島貨物駅から発送されるチキ工臨の最終便、万感の思いで見送りました。
この後は新小岩信号所へ移動。
7番線に最終便のチキが停車中。編成は前から、チキ6184・6033・5237・5219・5252・5309の順でした。
最後尾となるチキ5252・5309ユニットの行先票には「チキ車最終便」の文字。本当にこれで最後です。
荷票を撮った後は一旦引っ込みまして、夜に再び新小岩信号所へ。最近はチキの廃車回送くらいでしか訪れることのなかった夜のシソですが、この日は久々に会う方々もたくさんいらっしゃいまして、なんだか数年前に戻ったような気分になりました。
談笑しているうちに牽引機が到着。越中島発のチキ工臨最終便は、EF65 1104が先頭に立ちました。
連結完了。
工9723 我孫子工臨 EF65 1104+チキ6車 新小岩信
5番線にはEF65 2060牽引の5971列車が停車中。頭がピタっと揃っていてびっくり。
発車まで時間があるので、のんびりと撮影できました。
雨が降ったり止んだりの天気でしたが、雨に濡れたレールが実に綺麗でした。
先頭に立ったEF65 1104もこれが最終仕業。前も後ろもお別れです。
そして発車時刻。長い汽笛を鳴らし、新小岩信号所を後にしていきました。姿が見えなくなるまで見届け、帰路につきました。
撮り鉄を本格的に始めて以来、長らくメインの被写体にしてきた「工臨」。昔々のその昔から追いかけている大先輩方には到底及びませんが、いま振り返ってみると自分なりには納得のいく記録ができたんじゃないかなと思います。
機関車とレール輸送用貨車を使用した工臨はここで終わりになりますが、工臨自体は今後も走り続けていきます。縁の下の力持ちとして鉄路を支えるという役割も変わることはありません。見慣れた光景が見納めになるのは少し寂しいですが、いちレール輸送ファンとして、これからの「新しい工臨の姿」 をできる限り見つめていきたいなと思っております。
さよなら、チキ工臨。